アスペ・エルデの会 担当スタッフの報告


美和姉ちゃんによるちゃむチン報告

「第一印象」
「5年生」

「6年生」

「2年間を振り返って」


ロコ姉ちゃんによるちゃむチン報告

「6年生」

「中学1年生」

「まとめ」







 






美和姉ちゃんによるちゃむチン報告

第一印象


 理君と初めて出会ったのは、東山動物園での例会であった。以前から、神谷先生より「小さくて落ち着いた子だ よ」と聞いてはいたが、何しろ自分も、アスペのスタッフになったばかりだったので当日は「どんな子が理君なのだろう?自分が上手く接することができるだろ うか?」と不安と期待でかなり緊張していた。他のスタッフから、理君が来ていることを教えてもらうと、そこにいたのは、うつむいて父親の傍にじっと座って いる、5年生にしては小柄な男の子であった。「かわいらしい子だな」というのが遠くから見た時の印象であった。
 スタッフの石川美都里さんと私が近寄って行くと、理君は父親に促され早口で「山本理です」と自己紹介した が、やはりうつむきかげんであった。この時は、接し方が全くわからず「不安」でいっぱいになった。案の定父親と離れるのを拒んだが、父親が上手く彼を私た ちに任せてもらえたお陰で何とか、みんなのいるところへ、行くことができた。今考えると、理君自身も緊張していたのだろうと思うが、動物にあまり興味を示 さず、常にうつむいていた。スタッフが二人とも理君と手をつなごうとすると、頑なに拒んだ。しかし、唯一理君は、''ダジャレ"には、敏感に反応し、堅 かった表情は、一瞬で満面の笑みに変わった。この笑顔でようやく自分の中から不安が取り除かれた。私たちは、彼の表情から彼の真意を読み取ろうと試みた が、笑う以外は、ただプログラムをこなすだけという印象を受けた。様々な質問を投げかけても、返ってくる答えのほとんどは、「わからない」というもので, 考えようという姿勢はみられなった。私自身は「せっかくだから楽しませなきゃ!」と内心焦っていた。勝手に何処かへ行ってしまうという行為はなかったが、 集団でいるという意識もあまりないようで、周りの人や動物への関心もないように感じられた。
こうした一日を過ごしてみた感想は、自己主張は少なく、静かでおとなしい子ではあるが、ダジャレが好きでこれ には敏感に反応するため、ただ自己表現が苦手なだけだろう。だから好きなことを上手く使ってもっと理君のことを分かりたいと思った。この時にははじめの頃 にあった不安が、理君を担当したいな、という気持ちに変わっていた。

"ういろうから"東芝"へ

一年間で随分変化がみられた。ういろうから東芝に変わる頃には、周りの友達を意識できるばかりか、自己 主張もきちんとするようになった。しかし、このころまだ、大きな物音と電気が消されることには、パニックを起こしてしまい、近くにある物を破ったり、投げ たりするという行為がみられた。また1番にこだわるところは、以前と同じで、一番でないと泣き出してしまう。

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アスペの会での2年間

小学5年1学期(4・5・6・7・8月)
学習会(ういろうドーム名古屋)一北区役所
例会 4月-アニマルハンティング(東山動物園
   5月 - 刈谷大作戦(体育館でのレクリエーション)
   6月 - ういろうvs東芝(競馬場会館の体育館)
学習について
この頃は、神谷先生が作ってくれた図形や色塗り、形容詞の仲間集めなどの問題をやっていた。目的は、丁寧に字 を書けるようにすること、まっすぐ線がひけるようになることで(学校ではなかなか時間をかけてやることができない学習面のスキルアップを目ざしていた。ほ とんどが、理の好きなハム太郎をとり入れた問題であったが、集中力がかけることが多く消しゴムであそんで、なかなかはかどらなかったり、早く終わらせよう として雑にいろ塗りや字を書くということが多かった。ただ、こちらから、「ゆっくり!」っとアドバイスするとその時はゆっくり書く、あるいは、縁取りをす る、などという場面も見られた。
夏休みが終わる頃、「夏休みはどうだった?」という質問を投げかけたが、返ってきた答えは「わからない」とい うものだった。具体的に「何かしたか?どこへ行った?」という質問をすると「プールが良かった」という答えをした。ただ、このころ、私に対する答えでrわ からない」という答えが目立っていた。(私の質問が抽象的であったこと、理と私の距離があったことによる)
ゲームについて
ゲームのルールを知っているかどうか、それが上手く理解できるか、思い通りになるかで随分様子が異なってい た。
例えば、''だるまさんが転んだ"を行った時には、初めて行った!と言っていたが、(母親によると、実はやっ たことがあったらしい…)大変楽しんでできていた。初めから鬼であったが、大変喜んで上手く鬼をやることができたし、自分が鬼でない時に動いたことを指摘 されると素直に鬼のところへ行くことができた。
一方"人間輪投げ"を初めてやった時には、輪を強く投げてしまったり、適当に投げてしまったり、という様子が 見られた。
また、ゲームの途中で突然部屋を飛び出し、どこへ行くのか?と思うと、実はトイレであったということも見られ た。
この頃はまだ、他の子供を意識するような行為は見られいなかった。
例会について
例会では、グループ単位で行動するのだが、この時はまだ、グループ行動ができなかった。自分の興味のないとこ ろは飛ばしてしまったり、突然走り出してしまったりという行為が多かった。周りが見えないということと繋がっていると思うが、ゲームの順番も全く待てな かった。例え前に小さな子がいても,自分が先だ!というのが強かった。
私が、自己紹介、挨拶を促すとできるが、どことなく機械的に答えているように見えた。全体として、理は自分し か見えておらず、初めて会った子供たちには、あまり興味がないようであった。

小学5年2学期(9・10・11・12 月)
学習会 ういろうドーム名古屋 - 北区役所
例会 10月一秒だガッツだスポーツだ(四日市市海蔵小学校)
   12月一クリスマス会
学習について
この頃から、私が作った問題をやってもらっていた。45分ほどで作ってきた問題を解いてもらい、残りの15分 で日記を書くようにしていた。学習に関しては、神谷先生のように、上手くハム太郎をとり入れた問題を作るように心がけ、引き続き線引き、色塗りをしつつ徐 々に文字や読み取り問題にシフトしていった。
学習の時間は、ほとんどの時が集中し落ち着いて、すらすらと問題を解けていた。また、時々、問題にハム太郎が 登場したことに興奮して、大きな声でキャラクターのせりふを言ったり、椅子にすわったまま体を弾ませることがあった。このころ良くなった点として、わから ない字があると「○○ってどう書くんだっけ??」と聞けるようになったことであった。以前はわからなければ、機嫌を悪くしたり、集中力をなくすことがみら れたが、学習について少しでも興味を持ってくれたことが嬉しかった。
ゲームについて
前回上手くできなかった、"人間輪投げ"を今回もう一度やると、今回は、前回のように無茶苦茶やることはな く、きちんと輪めがけて投げることができた。周囲のことのコミュニケーションは、まだ難しいようであるが、自分の順番でない時は、指示どうりきちんと座っ て待っていることができた。
この時期は、ゲームよりクリスマス会の準備と練習を行っていた。ここでは、理のこだわりが現れた。曲選びの際 に、自分の好きな曲を主張できたことは大変良かったのであるが、曲が決まってからもまだ納得せず、主張を続けてしまった。
また、M君との相性が合わず、脅されて泣き出すということがしばしば見られた。泣き出すと「日記をかかない、 学校へ行かない」などと、頭の中が混乱しているせいで深い意味なく言葉を発していた。また、ため息をつくという行為もこの頃から見られ始めた。
クリスマス会の練習では、マラカスの担当をしたが、マラカスの担当になれたことに大変満足してしまい,演奏は 二の次なっていた。ダンスは、理にとって少し複雑だったようで、見よう見真似で懸命にやっていたが、どうも上手くできないようであった。
この頃は特にM君との関わりに問題があり、泣いている姿やパニックに落ちいっている姿が目だった。理自身は、 断りをしてからトイレに行くなど、成長が見られた。
例会について
運動会では、新しい一面が見られた。集団という意識が見られるようになったことである。特に野球では、自分も がんばって球を打つとともに、自分の順番が終わると、他の子供の為に「がんばれ一」と応援する姿が見られたし、人間一人一人が指の代わりになって行うじゃ んけんでも大変上手くできていた。移動の際も離れることなくグループで行動できていた。
また昼食が終わると、ブランコのところで低学年の女の子の隣で楽しそうに遊んでいた。
最大のイベントである、クリスマス会。かなり緊張しており、表情が堅かった。初めに腕につけるモールの飾りを ちぎって投げてしまうというハプニングもあったが、緊張と不測の状況では、仕方のない行動であった。出し物に関しては、練習以上に上手に自己紹介ができて おり、また、リズムにあわせて演奏できていた。

小学5年3学期 (1・2・3月)
学習会 ういろうドーム名古屋 - 御器所
例会 2月一科学の謎を解き明かせ!僕ら地球探検隊(名古屋市科学館)
学習について
このころの学習会では、やる気がみられるようになっていた。いつものようにきちんと問題が解けるばかりか、表 情が大変活き活きしており、時には、私を笑わせようとして、「ン」を「シ」とわざと書くこともあった。勉強を楽しんでやるとともに、私とのコミュニケー ションも楽しんでいる様子であった。また、言葉の意味に関して、理自らら「これは○○っていう意味?」とたずねる場面も見られた。しかし、やはり字は汚 い。
ゲームについて
普通の状況であれば、きちんとゲームができるようにはなったが,周囲からの刺激には大変弱いようであった。カ ルタとりをした時に、途中でR君が突然大声を出したことに驚き、カルタを放り投げてしまい、その後はその場から離れてしまった。大きな声や、他人が暴れて いる行為に敏感で反応しやすい。そのようなことはありつつも、''ういろう"の雰囲気になれてきたようで、たくや君やりょうゆう君と接している場面が多く 見られるようになった。
例会について
今回の例会は、朝から機嫌が良かったこともありスムーズであらた。科学館へ入るとわくわくしている様子で、興 味のあるところには、自分から進んでいき満足するまで何度も同じ物を試していた。今回良かったことは、年下の女の子に気を配ってあげていたことと、昼食時 に目の前の子がパニックになったが理は全く動じなかった。私が目を離してしまい、はぐれるというハプニングがあっ之が、なんとか無事に終えることができ た。

小学5年の成長
・少しずつ学習に興味を持つようになったと
・年下の子に気配りができるようになったこと
・ういろうのなかまと遊べるようになったこと

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小学6年1学期 (4・5・6・7・8月)
学習会・東芝西 - 北区役所
例会 5月 - 5月だ元気に運動だ!(東海南幸せ村)
   6月 - 働く電気(電気の科学館) イルカセラピー(南知多ビーチランド)
   8月一デイキャンプ(春日井自然の家)
学習について
新しいグループ(高学年)に移ったのだが、全体として以前より積極的に課題に取り組めている気がした。国語の ほかに、社会をやった時があったが、この時は、頭を使って考えている様子が見られた。また、わからない問題でつまっているときに、「工藤お姉さんに聞いて みたら?」と促すときちんと尋ねることができていた。
国語の文章問題に関してもつまずくところはあっても最後まで解くことができた。また、字が汚い部分について書 きなおしを求めると、きちんと書きなおすこともできた。
また、あまった時間に、ハム語や、ハムちゃんズについて私たちが教えてもらうということもありました。
ゲームについて
新しいグループなので自己紹介ピンゴをしたのだが、このグループに来てから大変機嫌が良くテンションも高く、 走り回ったり、ジャンプしている光景が見られた。しかし、ういろうの時は、機械的に行っていた自己紹介も、自分から、友達のところへゆき、きちんと名前を 教えることもできていたし聞くこともできていた。常に表情も柔らかく楽しそうにしていた。
例会について
集団の意識が身についており、この頃には、「みんなを引き連れる!」という意思があった。わくわくしているせ いもあり、グループで行動する際には、先頭に立って各チェックポイントに向かっていた。ゲームで一番になると大変嬉しそうで、しかもまだやっている子のこ とを待つこともできた。また、前回同様、年下の子に順番を譲ることができていた。また、空き時間には、他支部のスタッフに遊んでもらったり、子供と遊んで いた。
昼食の時には、理から私に質問してくれることがあって大変嬉しかったことを記憶している。
イルカセラピーでは、初めは少し怖がっているようだったが、インストラクターの方のおはなしをしっかり聞くこ ともできたし、指示にしたがってイルカと泳ぐことができると、終わった後は、大変満足しているようすで、少し自信もついたようであった。

学6年2学期 (9,10,11,12月)
学習会(東芝西)一北区役所、
例会一9月一イルカセラピー(同上)10月一運動会12月一クリスマス会
学習について
この頃から、算数の問題を積極的にとり入れるようになったが、理は算数が大変好きなようで、計算問題に限らず 文章問題もすらすらとできていた。ただ、途中少し気が散ってしまう場面も見られた(クリスマス会の準備のため学習時間はあまりなかった)
ゲームについて(クリスマス会の準備)
クリスマス会の歌とダンスの練習をしたのだが、ダンスの練習では、スタッフの踊りをよくみて、音楽に合わせ元 気よく楽しく踊れた。また、東芝の出し物劇では、自らがいうせりふを「あわせっち(協力)」にするとともに、他の友達が決めたせりふを発表する時にもきち んと聞き台本に書き込むことができました。
例会について
イルカセラピーでは、夏休み中に行った四国のセラピーが大変よかったために「イルカとはまぶだち!!!」と いって朝から大変ご機嫌であった。すでにイルカと泳ぐことを怖がってはおらず、一緒に泳ぎ終わった時には大変興奮している様子であった。イルカについて話 をしている時は、表情が柔らかく、楽しそうであった。
クリスマス会(聞いた話によると)は大成功であった。自分のせりふがしっかりと言えダンスもできていた。

学6年3学期 (1,2,3月)
学習会(東芝西)一北区役所
例会一2月どんなお仕事かな?(科学館、交通資料館)
学習について
国語に関して、相変わらず字はあまり丁寧ではないが、わからなかったら、理の方から質問することが多くなり 「わからない」という言葉で片付けることは減ってきた。算数は問題なく、初めから大変やる気があり、例え少し困難な文章題であっても工藤さんや私の誘導に 従い、自分の頭で考え自分のやり方で問題を解いていた。例え解答が正解でなくても気分を悪くすることなく最後まで解いていた。
ゲームについて
人間すごろくは大変印象的であった。というのは、この目は4人が参加していたのだが、4人が同じマスでとまっ た時に4人が一つのマスに収まるように抱き合っていた姿が大変印象的でだった。仲間意識がいつも以上に高く積極的でよく笑っていた。ただ、初め順番を決め る際に1番になれなかったことから、やはり泣き出すということもあったが、スタッフに「最後じゃなくて4番だから」と説得されると納得した様子であった。 また、ゲームの準備の手伝いもできていた。
例会について
この例会ではグループのリーダーかつ最高学年であったことから、みんなを引き連れていくという意識が大変強 かった。「お一いこっちだ!」と後ろを向いでいっている姿が印象的であった。科学館は何度も来ているようで、少し退屈そうだったが、資料館では、電話であ そんだり、自分で本を持ってきて熱心に読んでいた。
最後のグランドでのゲームでは活発に動いていた。

6年の成長
・学習面では,積極的な姿勢が見られるように なった。
・仲間意識が高くなった。
・自分の立場(最高学年)を意識するようになっ た。

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◆2年間を終えて

 今、2年前を振り返ってみるとよくわかるように、理書は、随分成長した。周囲への関心一友達の名前を 口に出して言う。友達と仲良く遊ぶことができる。かなり年下の子には特に興味を示し、かわいがってあげることができる。頭をなぜてあげたり、あやしてあげ たり、という行動をするようになった。また、東芝では、同じグループの子供と相性が合うということもあり、学習会後のゲームの中で嬉しいことがあるとみん なで抱き合う、という場面まで見られるようになった。
 以前は、人によっては(大人に対して、初対面の人に対して)、全く反応しなかったり、逃げ出したり、という ことがあったが現在は、話かけられたら、答えることができるようになった。

こだわり一家庭、学校ででるこだわりについては、よくわからないが、少なくとも、アスペの会における悪い意味でのこだわり行動は へってきた。
具体的には、突然電気を消されても全くパニックにはならなくなったし、ところかまわずジャンプするということ も見られなくなってきた。大声を出すというシーンは初めからアスペの会ではほとんど見られなかった。
ただし、r一番」にはまだこだわりがあるようだ。一番になれないと、泣き出してしまう(わざと)が、スタッフ が上手く説得できれば、そのままゲームを進めることができる。アスペの会に入った当初は、順番へのこだわりは他の子供たちに比べ目だっていなかったことが あり、理はこの2年の間に勝負に勝つという意味で「一番」に興味を増すようになった、あるいはきちんと、勝ちたい!ことを意思表示できるようになったと思 われる。

勉強一もともと頭は、良いと思うので、理が学習した範囲の問題は解くことができる。しかし問題は、勉強にあまり興味がないと いうコトである。学習会を重ねる毎に集中力はついてきたが、体調や気分に大変左右されやすい。
それでもまだ算数は好きであるので、例えすぐに解けない問題であってもやり方を説明することによって解くこと ができる。
一方、国語は苦手で面倒なようで、文字を雑に書いたり、時には、消しゴムで激しくノートの文字を消して紙を破 ることもあった。時々ひらがなを忘れてしまうことや、私を笑わせようとしてわざと間違った答えを書くこともあった。集中力をアップさせるために、問題に予 め、ハムちゃんズのキャラクターを登場させておくとそうでない時よりは、やる気を出すということもあった。初めのころからの変化といえば、以前であれば、 ひらがなを忘れてしまった時など、だだじっと固まっているだけであったが、わからないことを自ら私に尋ねることができるようになったことである。

表情一相変わらず、かわいらしい笑顔を持っていて、スタッフの間でも人気である。そして、自分の思い通りにならない、理解不 能な自体が起こった場合に「泣く」という行為は、ほとんど見られなくなった。5年の頃は、思い通りにならないと物を放りなげたり、部屋の隅、外に勝手に 行ってしまうということが結構見られた。
しかし、6年になると、仲間ともコミュニケーションがとれるようになり、自分の位置も意識できるようになった おかげで表情は柔らかいように思う。

家族から理へ望むこと
仕事をして、給料がもらえるように我慢を覚えてもらいたい。そして周りに迷惑をかけずその上で優しい人であっ て欲しい。

担当スタッフ水谷が理に望むこと
いつまでも笑顔を絶やさず、周りとのコミュニケーションを大切にしていってほしい。この2年間が少しでも理の ためになっているとよいと思う。

最後にこの2年間、理君の担当として様々な活動に参加させて頂き、理君と同じくらい私自身も想像を越え て成長できたこと、成長させられたことを理君とその両親、またアスペの会にも感謝したいと思います。
理君と出会い共に多くの時間を過こしたことで、「他人の気持ち」を真剣に考えるということ、「素直に楽しみ喜 び悲しむ」ということ、「あたりまえのことに感謝」するということなどを教えられました。
大学に入る以前から「心理学」や「カウンセラー」ということに興味があったものの、大学はもともとやりたった 国際関係の学科を選択したため、そうした学習は出来ないと思っていたところに偶然この会を紹介していただきました。「勉強したい」という安易な気持ちで参 加し始めたものの実際はそのような受身的な態度ではどうにもならず悩んだこともありました。しかし、ここでの体験と言うのは、「学習」というような簡単な 言葉で表現できるようなものではなく、「人生における貴重な体験」というものであったことを確信しています。理書の日々のわずかな成長に感動したり、私自 身の新発見に感動したり、本当に多くの刺激を受けた2年間でした。不充分な点ばかりではありましたが、本当に貴重な時間を過ごせたことを皆様に感謝してい ます。中でも特に多大な影響を与えていただいた、理君とそのご家族に感謝しています。ありがとうございました。
いつか理君が、「美和お姉さん」と過ごした時間のことを、ふとした時に思い出してくれたらいいなと思います。 そして、理君とそのご家族が、水谷美和という1人の人物を以前よりひと回り大きな人間にしたことを忘れないでほしいと思います。理君には、自らが、他人に 影響を与えることの出来る人間であると言うことに自信と誇りを持って強く生きてほしいと思います。

 

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ロコ姉ちゃんによるちゃむチン報告


6年生の部

初めて理君に会ったときの印象
 私にとってはボランティアに参加するのも、「アスペルガ−症候群」という名前を耳にするのも初めての経験でとても緊張していた。けれど初め て会ったときに理君が少し恥ずかしそうにうつむいて、でも目をくりくりにしながらはっきりと名前を教えてくれたのがとても嬉しく、とても印象深く覚えてい る。
(1) 小学校6年生 1学期
最初の1年、私は水谷さんの補佐という形で理君と向き合っていたので、いつも理君と直接関わりあうというよりは、様子を見ているということの ほうが多かった。勉強面では水谷さんがうまく私をいれてくれ、理君と関わることができた。理君は好きなものがはっきりしていた(このころはハム太郎)の で、私は理君と話をする話題に困ることはなく、理くんもハム太郎のことに関しては反応よく答えてくれた。初めての学習会の後、すぐに初めての例会があっ た。このときも私は理君につきっきりというわけではなかったが、「同じグループにいるよ」と理君にいったら、理君は椅子からすくっと立って私の手を掴んで ぴょんぴょん跳ねて喜んでくれた。満面の笑顔でとても嬉しかった。このときまで、私は理君のこだわりや特徴についてよくわかっていなかった。けれど最後の 方で理君が疲れてきて、突然他の子どもがいたずらで部屋の電気を消したとき、理君は目の前の机にあったかばんやマニュアルをすべて破って勢いよく投げ飛ば した。私には何が起きたのかが全くわからなかった。「突然の出来事が苦手」ということの意味を知った瞬間だった。その後の学習会でも他の子どもが面白がっ て電気を消すたびに、かばんやえんぴつが宙を舞い、理君の表情が硬くなっているのをみて、「突然の出来事」が理君にとってどれほど大変なことなのかを考え るようになった。

(2)小学校6年生 2学期

 水谷さんが都合でしばらくお休みすることになり、初めて2人で勉強会や例会を過ごすことになった。理君と1対1 で向き合うのは初めてだったので、私は理君にあった勉強を作ることができるか、理君がわかるように勉強を教えられるか、他の子供とトラブルがあったときな ど私ひとりで対処できるか、パニックに陥ったとき適切に落ち着かせてあげられるかなどといった不安がたくさんあった。
 勉強は算数はやはりとりかかりがとてもスムーズに進められた。少し長い文章題でもハム太郎が出てくると興味をもってやってくれた。国語の文 章問題は、私が思っていたよりもやってくれた。しかし、たくさん字を書くことはやはり苦手で、だんだんふざけて濁点をたくさんつけたり、消しゴムで消すの を嫌がったりすることが見られた。
 クリスマス会では劇をすることになった。電気が消えて暗くなるシ−ンがあった、理君がいないときにきまったことだったので、私は不安になり ながらも理君に説明すると、理君は「我慢する」といってわかってくれた。自分の言うせりふは自分で決めることができ、他の子がセリフをいうのを長い間待 ち、応援することもできた。プレゼントをもらうシーンでは本当に嬉しそうであった。そして本番でも電気が消されても動揺することなく、無事終えることがで きた。理君はダンスを舞台の上で踊ったが、理君なりに先生をよくみて、曲に合わせて楽しそうに踊ることができた。
 私の不安をすべて吹き飛ばすかのように、そのあとの学習会でも電気が消されてもパニックになることがなくなった。

(3) 小学校6年生 3学期
 物を飛ばすことはなくなって落ち着いてきたように思う。ただ気に入らないことがあると、勉強でもスペシャルでも紙を破ってしまう。勉強は算 数はあいかわらずとりかかるのに時間はかからず問題もすらすら解いていくが、国語になると急にやる気がなくなってうだうだして、ぜんぜん進まないことが多 かった。特に字を書いていると、だんだんいらいらしてきてしまう。文章問題では、登場人物の気持ちを答えるところなどは、苦手であるようだ。理君のお父さ んからは、字をゆっくりでいいから丁寧に書く、ということが目標ということなので、そのことをこの1年でどうにかできたらなあと思う。
 ゲームでは「1番になりたい」というこだわりがあるようだが、1番になれないからといって気分が悪くなることが少なくなった。嫌な言葉には 反応してしまう理君だが、「ビリじゃなくて4番だよ」というと納得できることがあった。グループの他の子どもに対して仲間意識ができたようで、名前を呼ん だり、自分のグループに誰がいるかということを意識するようになった。

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中学1年の部


(4) 中学校1年生 1学期 
 今年度の目標を「字をきれいにする」とした。けれど理君は字を書くのが特に好きなわけではないので、算数を気分転換にやりながら字を書いて いくことにしようと思う。字を書くことに対して非常に積極的な姿勢が見られるようになった。私が用意したひらがな帳は絵と色が ついているのがよかったのか、私が「始めようか」というとさっとやるページを開いてどんどん書いていくようになった。なぞるのはあまり好きではないようだ が、次から次へと進みたがった。
 おうちを引っ越して、電車通学をするようになり、電車にはまって「上飯田線」「小牧線」が理君のお気に入りとなった。うさぎのしろとローズ を飼い始めたようで、ウサギの話題にはとても反応がよく、うさぎの絵などにもとても興味があったようだった。新しい子供が東芝島にたくさん入り、スタッフ も増え、最初は見慣れない人たちにとまどっていたようだった。積極的に関わっていこうとはせず、様子見をしているように見えた。スタッフの問いかけなどに は反応するが、自分から他の子に名前を聞いたりすることはしなかった。
 環境の変化からだいぶ疲れがたまった5月の例会では理君が嫌がることをされたり言われたりしてパニックになると持っているものを投げてし まったり人をたたいたりしてしまった。理君の課題は自分が嫌だと思っていることを相手にどううまく伝えることができるか、ということであった。そしてこれ は私にとっての課題でもあり、理君が友達と関わっていく中でどのような支援をしたのなら、理君の気持ちをうまく相手に伝えることができるかということで あった。  

(5) 中学校1年生 2学期
 学習面では、字を書くことにさらに積極性が見られるようになった。ただページがたくさん続き、飽きてしまうと面白がって濁点をたくさんつけ たり、マスから大きくはみ出して書くということも多く見られるようになった。たくさん書いたあとで疲れるのか、気分転換になるはずの算数をやる気がやや失 せ、やりたくないときは「わからない」といって寝たフリをすることが増えた。しかし、4月に入ってきた子どもたちが慣れ始め、勉強時間中に周りが騒がしい ことがあっても特に気にする様子もなく、自分のペースでやることができた。
 例会の運動会では「中学生」を意識し、私がグループのリーダーをしたこともあって、みんなを誘導するのを手伝ったり、グループのリーダーが もつ荷物を持とうとしてくれた。しかし、だんだん疲れてきた後半では、グループから飛び出してしまった子に対し、みんなをまとめることよりも「自分が一番 先頭を歩く」ことを意識してしまったようで、みんなを置いて先に走っていってしまうこともあった。グループの人数を数える、という仕事を理君にしてもらっ たところ、それによって自分のグループに誰がいるかを考えてくれるようになった。
 クリスマス会ではドレミパイプというどこをたたいても音が鳴るという楽器で演奏をすることになった。理君は少し長めのセリフと1音を担当し た。楽譜を見ただけで理君は私の指示はほとんど必要とせずに音を鳴らすことが出来た。セリフも覚えることを強制とはしなかったが、積極的に覚えようとし、 大きな声ではっきりということができた。
 手先が器用であることを必要とするような工作が苦手で、以前折り紙をしたときは途中で嫌になって折り紙を破ってしまうときがあった。しかし あるとき突然、理君は「自分で作った」というちょうちょを私に見せてくれた。折り紙のはしとはしを合わせたり、折り方の説明用紙を見て自分で折っていった のを見たときはとても驚いた。こういった細かい作業をすぐに放り出してしまうことが減った。一度は自分でやろうという姿勢が見られるようになった。

(6) 中学校1年生 3学期
 今まで時間が余ったときにやっていたしりとりが、理君が字を書くことに対して抵抗を持たない方法だったので、 しりとりを頻繁にするようにした。文字を入れるマスを作ってはみ出さないようにという約束をすると、はみださないことを意識してくれるようになった。字の 大きさが整うようになってきたと思う。以前はひらがなを書くときに、どんな字であったかを迷うこともあったが、このころはそんなこともなくなっていた。
 算数の問題は「買い物」をテーマに計算問題やおつりがいくらか、文章問題をやるようになったが、買い物に興味をもって、嫌がらずに取り組ん でくれるようになった。
 電車好きに拍車がかかるようになってきた。「何でもバスケット」をするとき、初めは全く興味をもたずに「見学している」といって参加しよう としなかったが、テーマが地下鉄の駅名となったら飛びつくように突然やる気が全開になって参加することがあった。
 このようにやる気にあるときとないときの差が明確になり、気分が乗らないと全くやらないということも見られたが、理君の好きな「うさぎ」 「ハム太郎」「電車」を絡ませると積極的になったので、きっかけさえうまくはまればこっちが何かを指示しなくても自分からどんどんやっていくという集中力 もみられた。

お まけに 中学2年 1学期
 算数は、その日に作る料理の材料を買いに行くという設定のもと、材料の単位や人数分の量、スーパーでのお金の払い方やおつりの計算など一連 の流れでやるようにした。その料理に使う道具の名前と使い方を一致させることもやった。買い物の仕方などは理君は小学校で練習していたようだが、ここでも 特につまずくこともなく、スムーズに進めることができた。
 漢字は書けなくても読めることが大事だろうと思い、その材料の読みなどを書いてもらった。文字を書いてもらうために引き続き国語はしりとり をした。横書きにしたり、マスを小さくしたりしたが、どんな形でも理君は喜んで字を書いてくれた。
 その日にやる勉強内容を始めに紙に書いて知らせておくと、途中でだれてしまうことがなくなった。休憩時間も作ったが、ほとんど理君は休憩を 取らずに「次をやる」といってどんどん取り組んでくれた。
 新しいスタッフが増えて、理君は初対面でなかなか自分の名前を言うことが出来なかった。恥ずかしそうに顔を筆箱で隠したりして、特に女性の スタッフの前ではなかなか打ち解けることが出来なかった。勉強が進み、しりとりの中の自己紹介クイズでやっと隣のお姉さんに質問することができるという具 合だった。私が初めて会ったときははっきりと名前を教えてくれて、女性スタッフよりむしろ男性スタッフが苦手、と聞いていたのに、今は男性スタッフが相手 のときの方が打ち解けるのも早くなって女性スタッフだと緊張している様子が見られた。
 グループのメンバーが大きく変わり、緊張していた様子だったが、話し掛けられるときちんと反応することができた。理君の中に理君なりのグ ループの認識があったようで、理君は新しいグループで自己紹介をするとき、今まで一緒だったグループの子どもに一番初めに向かっていった。
 電車だけではなく野球の話が多くなり、休憩時間もピッチャーの真似やバッターの格好をするようになり理君の成長が見られた。

トッ プ

 


 





まとめ
   
 パニックを起こす回数が減り、嫌な気持ちになっても切り替えが早くできるようになった。始めは字を書くことをあ んなに億劫がっていたのに、今ではしりとりとなると、すぐに取り組むことができる。細かい作業にも積極的に参加するようにな り、嫌になって紙を破いてしまうことがなくなった。しかし、ゲームのルールはわかっているようでわかっていないことがたくさんあるので、他の子供とトラブ ルにならないように確認しておく必要があると思う。
    
 最近の理君は身長がぐんぐんとのび、力も強くなり、声も低くなりだんだん少年らしくなって来ました。初めて会ったころはまだ私より背も小さ く、好きなものもハム太郎だったりして可愛らしい一面が多かったのを覚えています。
 身体的にも精神的にもたくさん変化が見られる理君ですが、東芝島で理君が醸し出す空気はいつもみんなをほっとさせ、温かいものであることは 変わらないところです。違う子どもが大騒ぎをしたり、スタッフ間で緊張が走るような場面で理君が絶妙なタイミングで言うギャグで、一気に場が明るく和やか な雰囲気になることがたくさんありました。理君の無邪気な振る舞いが他の子どもやスタッフの笑顔を引き出してくれることがありました。時には東芝島の子ど もの中でもお兄さんらしく、自分の意見を落ち着いてしっかりはっきりと皆の前で発表をすることができ、「さすが理君」といってみんなが感心することもあり ました。
 理君と出会って私はいろんなことを知ることができ、また改めて基本的なことを見つめ返すことができました。特に「相手の気持ちを考えるこ と」や「あたりまえだとされていること」について深く考えるようになりました。
 
何も知らない私が担当で理君や理君のご家族にはたくさんご迷惑をおかけしたと思います。理君にとってこの2年間で何がしてあ げられたのだろう、もっといろんな働きかけができたのではないか、と感じることもたくさんありますが、月に2度理君の笑顔に会うことが私にとってはとても 楽しみで、また全てが貴重でありがたい経験で、充実した時でした。本当にありがとうございました。
 私も水谷さんのように「ロコ姉ちゃん」として理君がふとしたときに思い出してくれるといいな、と思います。理君と出会えて本当によかったで す。これからも理君のそのみんなをほっとさせる優しい気持ちを大切にして、自信をもって人生を歩んでいってほしいと思います。

トッ プ